餃子の王将と大阪王将の違いは?

【PR】

「王将」という名称を持つ中華料理チェーンには「餃子の王将」と「大阪王将」がありますが、この二つは経営母体が異なる、独立したチェーン店です。

もともとは「餃子の王将」からのれん分けする形で「大阪王将」が開店し、今ではメニュー、戦略とも全く異なったものを採用するようになっています。

この記事では大阪王将餃子の王将の戦略の違いから、競合との差別化をはかるための経営戦略について考察します。

餃子の王将と大阪王将の違いは?名称をめぐって裁判に

「餃子の王将」はもともと京都を拠点として店舗を展開するチェーン店で、1967年に一号店を開店しました。その後全国に展開していくことになります。

一方「大阪王将」は、一号店の開店から2年後、親族がのれん分けの形で大阪を拠点とするチェーンを開始したのがはじまりです。

当初は同じ「餃子の王将」という名称を使用していましたが、大阪のチェーンが京都に出店したことをきっかけに名称をめぐって裁判が起こります。

その後「大阪王将」と名称を変更することで和解しましたが、現在は完全に競合関係となっており、以下で紹介するようにまったく異なる戦略を展開しています。

大阪王将の戦略…冷凍食品事業を展開

大阪王将の戦略の軸は、中高年層にターゲットを絞ったプロモーションとメニュー展開、そして外食事業以外への進出です。

ここでは大阪王将の戦略について解説します。

大阪王将の売上高・営業利益の推移

以下は、大阪王将の売上高および営業利益のグラフです(2020年度は予測値)。

2014年度(2015年3月期)に営業利益が大きく落ち込みましたが、それ以降は徐々に回復しています。

新型コロナウイルスの影響で、2020年度(2021年3月期)は売上高・営業利益ともに減少していますが、後述する冷凍食品事業は比較的好調を維持しているようです。
▲大阪王将・売上高および営業利益推移:同社決算報告書より編集部作成
▲大阪王将・売上高および営業利益推移:同社決算報告書より編集部作成

冷凍食品事業を展開

大阪王将は、外食事業だけでなく冷凍食品事業にも力を入れ、二本柱で事業を展開しています。

冷凍食品事業は2001年から始まりました。人気商品は「大阪王将羽根付き餃子」で、簡単に羽根付き餃子が作れることがセールスポイントとなっています。
 
▲羽根付き餃子:大阪王将公式通販本店より

店舗にはないメニューも含まれており、一般のスーパーなどで購入ができるほか、公式ショップを通して全国から通販で買うこともできます。

先述の通り、この冷凍食品事業がコロナ禍における大阪王将の売上減少を食い止める動きを果たしているようです。

大阪王将公式サイト

2014年の落ち込み後、既存顧客にアプローチ。業績V字回復

2011年の株式上場以降順調に成長していた大阪王将ですが、2014年度には営業利益が前年比70.2%減となる大きな落ち込みを経験しました。

不調の原因は新規顧客を取り込もうとした高級ラインナップの展開と、そのプロモーションのためにかかった広告宣伝費が経営を圧迫したことによるものでした。

以降、大阪王将は既存顧客である中高年の男性にターゲットを絞った展開に舵を切り直し、安さやボリュームを全面に押し出したメニュー展開を開始しました。結果として2016年の売り上げは回復しています。

その後、コロナ禍においては店舗自体の売り上げは低下したものの、前述の食品事業のラインナップ増加テイクアウト・デリバリーメニューの拡充などによって在宅消費の需要を取り込むことで、影響を最小限に抑える努力をしているということです。

餃子の王将の戦略…「冷凍保存せず」鮮度を売りに

餃子の王将は大阪王将と対照的に、外食事業に注力しながら、そのターゲットを広く取ることに重きをおいています。

ここでは、餃子の王将の戦略について解説します。

餃子の王将の売上高・営業利益の推移

以下は、餃子の王将の売上高および営業利益の推移を示したグラフです(2020年度は予測値)。

2013年度(2014年3月期)から営業利益が低迷していましたが、2017年度からは徐々に増加に転じています。

こちらも新型コロナウイルスの影響で2020年度(2021年3月期)は売上高・営業利益ともに減少となる見込みですが、テイクアウト・デリバリーが売上を伸ばしているようです。
▲餃子の王将・売上高および営業利益推移:同社決算情報より編集部作成

新規顧客にアプローチ、女性をターゲットに業績持ち直し

大阪王将とは対照的に、餃子の王将は「冷凍保存」しないことを売りにしており、鮮度をアピールしています。

さらに幅広い顧客層をターゲットとして、女性をターゲットにボリュームと価格を抑えた「ジャストサイドメニュー」や、にんにくを入れていない「にんにくゼロ餃子」などを展開しています。
▲ジャストサイズメニュー:餃子の王将公式サイトより

2016年には「GYOZA OHSHO」という女性をメインターゲットとした業態も開始し、すでに数店舗が出店しています。

2015年から2017年にかけて売上高を減少させていた餃子の王将ですが、これらの女性をターゲットにした戦略や、サービス向上に向けた取り組みが功奏し、2019年度には売上高が戻り、業績を立て直しました。

餃子の王将公式サイト

競合との差別化戦略

その他にも、餃子の王将は激化する中華料理店チェーンの中でも差別化のための戦略をとっています。

餃子と相性の良いビールを割引販売し、ちょい飲み客の需要を取り込むことや、スタンプを集めることで餃子の無料券や割引券などが手に入る「ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」など、新たなリピーターを獲得するための施策を数多く打ち出しています。

また、商品としての餃子に対するこだわりも差別化戦略の一つです。他チェーンの多くが外国産の材料を使っているのに対し、餃子の王将で販売されている餃子はすべて国産の材料を使っており、文字通りの看板メニューとなっています。

さらには、TVタレントを起用したCMにより持ち帰りの生餃子を売り出すなど、テイクアウトにも力を入れるようになっています。

コロナ禍に対しては、テイクアウト需要への対応として専用Webサイトからの事前予約・決済システムを直営店に展開する、出前館やUberEatsなどのデリバリーサービスなどをフランチャイズを含めた店舗に拡大するなどで対応しました。

それらの施策の効果もあり、2020年の第3四半期(10月〜12月)では前年同期比で増益増収となったということです。

対照的な両社の戦略。他社と差別化できているかが重要

同じ中華料理チェーンでありながら、一方は客層を本来のコア層である中高年の男性に絞ったこと、もう一方は女性など幅広い層にアプローチしていくことで、それぞれが業績を回復させたのが興味深いポイントです。

 

互いにとって、差別化による棲み分けがうまくいった結果といえるかもしれません。

 

コロナ禍にもそれぞれの形で対応しており、多くの外食チェーンがが売り上げの低下に悩む中、健闘をみせています。大阪王将は冷凍食品事業の充実、餃子の王将はデリバリーやテイクアウト需要への対応が軸になっています。

 

同じ業態、同ジャンルの店でも、その戦略はさまざまです。時代を読み、他にはない取り組みで差別化を図ることが重要になるでしょう。

 

餃子の王将公式サイト

大阪王将公式サイト